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公大連通信
 
公大連地区協議会
 昨年に引き続き地区協議会が10月26日(土)を皮切りに、12月13日(土)まで全国5カ所で行われました。
  当日は、公大連山田事務局長より「これからの公立大学」をテーマにした基調報告があり、その後参加組合からの状況報告が行われるなど、活発な意見交流の場となりました。
  地区協議会当日の状況や今後の取り組みに関して一報が届いておりますので、ご紹介します。
 
○近畿地区協議会(10月26日 於:大阪市 参加組合:大阪府大教職員組合、神戸市外国語大学教職員組合、兵庫県立大学教職員組合、滋賀県立大学教職員組合、大阪市立大学教職員労働組合、京都府公立大学法人労働組合)
 
【近畿地区協議会に参加して】
 地区協議会ではやはり独法化に始まる近年の大学「改革」がもたらしている大学システムへの悪影響に焦点が当たった.私の所属する兵庫県立大学は今では,近畿地区協議会参加大学の中で,唯一法人化に至っていない存在であるが,我々の場合も,4年前の県立大学としての統合時の大改組が実質的には法人化に等しかったということを,今回他大学の経験を身近に聞く中で改めて実感した.教授会の形骸化,深い検討が加えられているとは思えない教員評価試行,研究費の傾斜配分,任期等の新制度導入による「改革」,そして,予算の縮小など,他大学と同じ問題を我が大学も抱えている.
  現在の大学法人化の源流は教育問題にではなく,中曽根政権時代の小さな政府構想にあるという,山田事務局長の指摘は非常に示唆的で,個々の具体的な新制度の議論だけに終始しては事の本質を見失うように感じた.他方,個々の制度については一連の「改革」に与する立場の人たちと議論できる機会がもてればとの思いも持った.こういった議論は,何が危険で,何が必要な改革なのかの深い認識には必要であろうし,また,我々自身も認識を深めることによって,現在の苦しみが少しでも無益なものではない生みの苦しみにできるのではとの思いを持つからである.
  最後に,協議会の席で配布された資料はどれもが興味深いもので,書記局を中心として公大連に非常に有用な情報や実践的ノウハウの蓄積が進んでいることが実感でき,非常に心強く思った.
兵庫県立大学東地区教員組合 執行委員長  松本 敏民
 
○関東・甲信越地区協議会(11月15日 於:東京都港区 参加組合:都留文科大学教職員組合、山梨県立大学教員組合)
 
【関東・甲信越地区協議会に参加して】
 はじめに、公大連山田事務局長から公立大学のこれから」と題する基調報告を受けた。法人化で先行する国立大学の状況や公立大学法人に発生している諸問題を分析しながら、公立大学教職員組合の取り組むべき方向が示された。
 同報告に添付された公立大学の予算関係資料と国立大学法人の財務・経営資料は、法人化に向けて諸制度を策定中である本学にとっては、非常に参考になる資料であった。
 続いて、「大学の現状と組合の課題」と題する参加者交流会が行われた。参加した両大学はそれぞれ来年度、再来年度に公立大学法人化を予定している。山梨県立大では、今、法人化構想策定中でもあり、法人化で先行する諸大学の実情を詳しく知り、今、「よりましな法人化」に向けて、どのような対処が可能なのかを研究中であることなどを報告した。
当組合の地区協議会への参加の主要な目的は、何より、同じ境遇にある他の公立大学との交流であり、情報のネットワークを広げ、パイプを太くすることであった。その意味で、参加大学数が少なかったことは残念であったが、それでも懇親会を通じて親交を深められたことは収穫であった。
山梨県立大学教員組合 副委員長 黒羽雅子
 
○北陸・中部地区協議会(11月22日 於:名古屋市 参加組合:金沢美術工芸大学教職員組合、静岡県公立大学教職員組合、名古屋市立大学教職員組合、津市立三重短期大学教員組合)
 
【北陸・中部地区協議会に参加して】
 11月22日(土)、名古屋市つるまいプラザで開催された北陸中部地区協議会に参加してきた。2010年度からの法人化を控えて、広く情報収集しておきたいという必要性からも、我が組合からは鈴木康雄執行委員と私とでの2名参加という意気込み様である。他の参加単組は、静岡県立大、名古屋市立大、三重県立大の全4大学。少人数だなという感触ではあったが、そもそも公大連に加盟している大学自体が北陸中部地区では現段階でこの4大学なのだった。しかし、少数ゆえに、じっくりと密度の濃い話し合いや質問もでき、この点では本当にありがたかった。
 次第として、まずは山田事務局長による「公立大学のこれから」と題された講演。的確なレジュメと膨大な資料を配布していただいての講演であるがゆえに、難しくややこしい問題なども分かりやすい。話題としては、法人化5年目を迎えた国立大学において「改革」の名のもとに却って「改革疲れ」をしている状況、大阪府大や大阪市大等を例に公立大学における予算・人員削減の実態、秋田国際教養大学などに見られる任期制・教員個人評価・年俸制の実態、等々が紹介された。その上で山田事務局長の提言として、景気の悪い話に終始するのでなく、もっと積極的に、あるべき、理想の公立大学像をわれわれの側から提示していかねばならんのではないか、というものであったが、これには心底納得するとともに意を強くした。なお、公大連企画で新書版程度のサイズ・分量の『公立大学の品格』(仮題)の出版計画があるという。ぜひこの本が実現して、某○波新書あたりからベストセラーにでもなって(多少ポピュリズムのふうがあってもよかろう)、日本中に向けて公立大学の可能性をアピールして行ってほしいと思う。組合活動にも良いハンドブックとなるだろうし、大いに期待するものである。
 ついで、単組報告が行われた。内容は省略するが、互いに単組どうしでの意見交換も、少人数ゆえに私のような人見知りでも活発にできたのはありがたいことであった。なお、この時に話題となった、総務省よりの公立大学に関連する地方交付税交付金の算定基準について、明確な情報を得たのも一つの収穫であった。去る7月度の公大連大会の際にも話題になったものだが、その時はメモしきれぬままで、また家政芸術系の金額も知れなかった。改めてメモ代わりにここに記せば、学生一人当たり文系245000円、理系1501000円、医学系4111000円、家政芸術系918000円、なのだそうである。7月度の情報で文系単価で計算していたため「たいした金額じゃないな」と思っていたが、我が美術大学の場合、やっぱり結構な金額が国からの交付されていたのだなと理解した。もちろんこの交付金はひも付き予算ではないため、どのように配分するかは当該地方自治体の権限である。貰った分だけちゃんと大学に回してくれと要求するのは、昨今話題の道路特定財源とちょうど逆で、一般財源を大学運営の特定財源にせよと主張するようなかたちに見えてしまうのは痛しかゆしではあるが、しかし、大学があるおかげで地方自治体のステイタスが高まっているのは、「世界にはばたく」我が金沢市にとっては事実なのだ。市内・国内的には財政的お荷物のように思われがちであるが、外国からは市立で美術大学を持っているがゆえに一目置かれることになるからだ。
 脱線ついでではあるが、独法化に向けて教員個人評価の実例を、公大連で頂いた資料も含めてあれこれ見て勉強している最中なのだが、個人評価に存する根本的発想は、決して安易な「経費削減のためにどうするか」、「ダメ教員のクビを切るにはどうするか」といった類のものではない。その程度の「敵」であれば、撃破は案外簡単なのだ。「より良い研究教育機関となるためどうするか」という、ごくごく真っ当な初発的動機がここには在る。しかしその動機は、おおむね「教員のインセンティブを高めるためにどうすべきか」というものに変換されているのが実態。そして、その具体的施策としては、個人評価を生活給・勤勉手当・昇給・昇任・研究費・研究休暇・任期更新などへ反映させるというものとなる。「改革疲れ」「点検疲れ」がどのような現状にあるのかはもう少し勉強していきたいが、率直に思うのは、大学人のインセンティブ(動機)はお金なのか、ということである。もちろん生活給は保障されなくては困るし、金はもらえるに越したことはない。が、それは結果の問題であって、お金のために授業をやり研究論文を書き、または大学事務をしているわけではないのだ。同一労働同一賃金で良いのだ。ただし、その前提として、大学人は研究者教育者として自立した存在でなければならない。もちろん、ダメ教員は皆無だなどというつもりないし、自分はダメ教員ではないとおそらく全大学人が思っている(私も)のがそもそもの問題なのだろうとも思う。しかし、「能力と意欲のある教員が優遇される体制作り」のような謡い文句に反して、青天井で優遇されるはずもないのはこの恐慌下において明白である。この、少ないパイを足の引っ張り合いで争奪させ、お金で釣ろうというあさましい根性に抗して、大学人は再び互いの共感を取り戻し、かつ自らを立てていかなければならないんだなぁと思う。
 公大連に参加して元気が出るのは、基本的発想が旧来の(負けっぱなしの)労働組合的な主張するだけ主張する式のものではない、というところにある。他人のせいにして主張しているだけでは勝てない。一番しっかりしなきゃいけないのは自分たちなのだなぁと思う。お金で首根っこをつかまれて右往左往して疲れ果ててしまうのではない途。かなり大変ではあるが、がんばっていくしかないのだろう。そんなことを考えながら、懇親会も盛り上がった一日であった。参加費3000円なので居酒屋チェーン店あたりを予想していたのだが、なんと名鉄駅ビルの上の高級和風宴会場で、美味い酒と料理を堪能しつつ、大学問題のことだけでなく、参加者が自分の研究分野の話題を紹介し合ったりするのは、やっぱり楽しいものなのである。種々の情報収集と意見交換、そして懇親会参加費の補助と、公大連にはお世話になりっぱなしである。
金沢美術工芸大学教職員組合 副委員長 高橋明彦
 
○九州地区協議会(11月29日 於:福岡市 参加組合:福岡女子大学教職員組合、北九州市立大学教員組合、九州歯科大学教員組合、熊本県立大学教職員組合、大阪市立大学教職員労働組合)
 
【九州地区協議会に参加して】
 鈴木公大連執行委員からの挨拶の後、山田公大連事務局長から「公立大学のこれから」と題して、行政改革推進法の施行による公立大学の法人化の流れと法人化の現状、また国立大学法人の現状等の報告がありました。その後、約2時間、参加4大学と事務局(大阪市大)とで、山田事務局長の報告に対する質疑応答も含めて意見交換を行いました。
  参加した4大学は法人化されて2年以上経過していますが、ボトムアップ機能を欠いた理事会によるトップダウン方式の意思決定、教授会の形骸化、教員の意向投票を設けない学長選挙といった大学運営の変質、個人業績評価の導入とその評価結果の任期制(再任審査)・給与・研究費等への反映による歪な人事・教育研究体制への変容等、法人化後に巨大な負の遺産が形成されていることを実感しました。また、公立大学の法人化の際、最大のメリットとしてあげられていた職員のプロパー化については、各大学において、設置者からの職員派遣という形での対応が依然継続されており、プロパー職員の採用は少なく(福岡の2公立大学においては採用未実施)、代わりに非正規雇用職員が増員されている状況が同じように生じています。
  このままでは今後、大学自身による効率的で健全かつ活力のある組織運営が望めなくなってきており、非常に危うい未来が容易に想像されます。このような閉塞状況の中で組合が担うべき重さを痛感した次第です。
福岡女子大学教職員組合委員長 田村典明
 
○中国・四国地区協議会(12月13日 於:岡山市 参加組合:高知女子大学教職員合、県立広島大学教職員組合、岡山県立大学教職員組合、山口県立大学教職員組合)
 
【中国・四国地区協議会に参加して】
 かねがね自分の大学は法人化後,とんでもない状態に転落し,構成員の不満や不平が充満していると感じていました。理事長・学長以下学科長に至るまで上からの指名となり,教授会は人事権はおろか重要事項の審議もできない報告の場となり,などなどです。今回の協議会に参加して,山田事務局長の基調報告,各大学単組からの報告と情報交換を通して,日本の大学,特に公立大学がほとんど例外なくとんでもない状態に転落していることを実感しました。
  しかし,同時にとんでもない状態の中でも様々な取り組みが真剣かつ精力的に行われ,一定の成果が上がっていることもわかりました。他大学の状況を知るにつれ,自分の大学の状況を少しでも改善し,学生の学習条件を改善し,われわれの教育研究条件・労働条件も改善するためには,やはり公大連加盟の組合を中心に他大学の組合と,今後も緊密に情報交換や協力関係を保つことの大切さが身にしみた会議でした。
  これからも引き続いて,何卒よろしくお願い申し上げます。
県立広島大学教職員組合広島支部 副委員長 猪木 省三
   
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